黄金の馬『アハルテケ』の国。馬好きが大阪万博でトルクメニスタン館を堪能する


少し前SNSでExpo2025 大阪・関西万博(以下、大阪万博)のトルクメニスタン館が話題になっていた。トルクメニスタンといえば「黄金の馬 アハルテケ」の国である。
これは行かねば!ということで、わたしは大阪出張の帰りにナイトパスを使って万博会場へ向かった。

※実際に行ったのは7月上旬のため、現在の状況と異なる場合があります。
※この記事はnoteに掲載したものを再編集しています。

トルクメニスタンはどんな国?

引用元:Pacalla

トルクメニスタン中央アジアにあるイスラム教の国。

周囲をウズベキスタンアフガニスタン、イランに囲まれ、国土の85%は砂漠である。共和制だが独裁国家色が強く、言論統制や情報統制などもあるようだ。しかし、天然ガス・石油などの地下資源が豊富で、イスラム国家だがお酒もOK。公的建築物は大理石で、税金は安いけど社会保障は手厚いという、なんとも興味深い国だ。

そして、トルクメニスタンはめちゃくちゃ「馬推し」の国でもある。

超スレンダーボディ。黄金の馬「アハルテケ」とは

実はカラーバリエーションも豊富なアハルテケ

アハルテケはサラブレッドと同じ軽種に分類される馬で、トルクメニスタンでは競走馬としても乗馬としても使われている。アラブ種の血を引くといわれ、スピードと持久力を兼ね備えており、黄金色ともいえる光沢のある美しい毛並みが特徴である。

体高は資料によって多少の差があるものの143~163cmほど。そして、サラブレッドを超えるスレンダーボディで筋肉質だ。2016年にはプーチン大統領バーレーン国王に贈ったことでも世界的に話題となった。

アハルテケをモチーフとしたパビリオンの外観

さて、ここからはテンポよくトルクメニスタンのパビリオンの馬にまつわるあれこれを紹介していきたい。

パビリオンの外観は、「THE 馬」である。細い顔、ちょっと出っ張った顎、小さい耳はアハルテケの特徴をとらえているが、タテガミはデザイン重視といったところだろうか。実はアハルテケ、たてがみは結構薄い。伸びてくると首回りにぺたっと張り付く感じは伝わってくる。

アシガバートの街並み

ゴールドではなく白を基調しているのは、トルクメニスタンの首都アシガバートが、白い大理石でできた建物が立ち並ぶ「ホワイトシティ」と呼ばれていることに理由があるかもしれない。

トルクメニスタンの紹介ムービーもアハルテケ推し

予約なしでも、10分ほど並ぶと中に入ることができた。すぐにシアタールームのような場所に通され、トルクメニスタンの素晴らしさを訴求する映像を視聴する。これも内容の3分の1くらいは馬だった。

「伝説のアハルテケ馬とともに、トルクメニスタンは歴史にその名を刻み、
世界を驚嘆させてきました」

図鑑で調べたところ、トルクメニスタン原産の馬としてはアハルテケの他にも「ヤムード」という馬がいるようだが、万博ではヤムードのヤの字も見つけられなかった。

アハルテケの美しい馬装具

パビリオンの展示スペースでは、アハルテケの美しい馬装具を見れたことがうれしかった。黄金に光り輝く馬体がフィーチャーされやすいので、日本で見るアハルテケの写真は「馬装なし」のものが多いのだ。

美しさの中に軍馬っぽさもある胸がい

馬装のイメージ

アハルテケはトルクメニスタンの象徴

 

展示には本もあった。触ってよいのか不明だったため、開いてあったページだけだが、アプリ等を駆使して翻訳してみると以下のような内容(要約)が書かれていた。

トルクメニスタンの文化における馬の重要性 - 歴史的な伴侶、進歩と幸福の象徴であること

●オグズ・トルクメン国家の名声と歴史的意義(過去の中央アジアに存在していた遊牧民をオグズという)

●アハルテケの世界的な名声と、それがトルクメン民族のアイデンティティ愛国心の象徴となっていること

もう1冊、ロシア語?と思われる言語で書かれた本も置いてあり、そちらは主にトルクメニスタンにおけるアハルテケの調教方法について説明されているようだった。どうやら1920〜30年代にロシアの馬の研究者がトルクメニスタンを訪れてまとめたものらしい。

 

アハルテケは人間の意志に反応する気高い魂を持っている馬であること

基本的な調教過程:

・仔馬は生後5〜6ヶ月以降に離乳

・手綱や引き綱に慣らした後、背中に鞍や人を乗せる訓練

・1歳半の秋のレースに向けた準備

5~6か月に及ぶ3段階の調教過程:

・最初の2〜2.5ヶ月:繋いで太らせる(大麦とアルファルファで栄養補給。馬の調子が悪いと気づいた場合は、大麦に溶かしたバター、卵、平らなパンケーキの混合物を加える)⁠

3〜3.5ヶ月目:フェルトの敷物の下で歩調を取りながら若馬を乾かし、1日に15〜20キロメートルの距離(4回の運動)をカバーした。

仔馬の離乳の時期はおおむね日本のサラブレットと同じくらい。「若馬を乾かし」というのはおそらく「体を絞る」という意味合いなのではと想像している。

「5~6か月に及ぶ3段階の調教過程」の内容はアプリの翻訳が間違っているか、1920年代の話のため、現代の常識とは合っていないかのどちらかだろう。「繋いで太らせ…」「馬にバター…」はいささか穏やかではない。

もう二度と買えなそうなトルクメニスタンみやげ

パビリオンの馬推しレベルの高さの割には、そこまでアハルテケグッズは多くない印象だった。悩んだ末にポストカードセットを購入した。

 

ケースの表紙に書かれた「GADAMY BATLY BEDEW」には、「俊足の馬」とか、そういうニュアンスがあるようだ。2016年に同じタイトルの著書をトルクメニスタンの大統領が書いている。このポストカードはその翌年に作られたもので、裏面に大統領の言葉として

我が国の馬は世界有数のエリートホースとして知られ、国家の財産、国民の宝として尊ばれ、人々の心を喜びで満たし、魂を強める存在である。

アハルテケは、その美しさ、穏やかな性格、忠実さで世界的に知られている。

といったことが書かれていた。

パビリオン自体もそうだが、とにかくこの馬は自分たちの誇りなんだ!という思いが随所にあふれ出ている。


ポストカードは全部で16枚入っていて、正確な金額は忘れてしまったのだが3000円前後だったと思う。トルクメニスタンには生きているうちに行ける気がしないので、貴重な資料だ。