中央アジアから届いたメッセージ。在来馬「カラバイル」に見るウズベキスタンの現在。

先日、トルクメニスタンの在来馬「アハルテケ」についてSNSに投稿したところ、ウズベキスタンのライダーから思いがけずメッセージをいただいた。そこにはアハルテケがウズベキスタンでも飼養されていることと、ウズベキスタンには「カラバイル」という在来馬がいるということが書かれていた。今回は、この知られざる馬とウズベキスタンの馬文化について触れていきたい。

※この記事は以前noteに掲載したものを再編集したものです

Karabair Horse -ウズベキスタンの在来馬「カラバイル」

ウズベキスタン原産の「カラバイル」

カラバイル(ロシア語:Karabairskaya)は、中央アジアウズベキスタンを原産地とする、古くからある馬の品種である。メッセージをもらったときは、聞いたことのない馬だと思ったが、手元の図鑑を見てみるとそこには確かに掲載されていた。ウズベキスタンの人々は昔から馬とともに生きてきた。とくにカラバイルは機敏で用途が幅広く、1000年以上前からウズベキスタンの人々を支えてきた。

カラバイルは、ウズベキスタンの「コプカリ(Kopkari)」という伝統的な競技にも適している。コプカリはアフガニスタンにおけるブズカシと同様のもので、子ヤギなどの死骸を馬に乗って奪い合い、ゴールまで運ぶ競技である。地面に落ちたヤギを拾う際に、馬の背は低い方がいいそうだ。

こちらは栗毛

体高は147~156cm程度。140㎝台の個体が多いようである。毛色は葦毛、栗毛、鹿毛が多く、まれに黒鹿毛青毛、駁毛、粕毛も見られる。特徴としては、直線的または凸型の顔のライン、筋肉質な首、短い背、丸い臀部、目立つ肩甲骨、細い足、そして高い位置についた尾などが挙げられる。

34年前、ソ連から独立したウズベキスタンの馬との関わり方

1991年8月31日、ちょうど34年前にウズベキスタンソ連から独立した。旧ソ連共産主義から脱却し資本主義へと移行するウズベキスタンは、この30年とちょっとの間に街並みと経済の両方が急速に変化している。

ウズベキスタンの首都。タシュケントの街並み

聞くところによると、現在も地方では馬車などが見られるそうだが、都市部はかなり発展しているようである。それに伴い、人々と馬との関わり方も少しずつ変わってきているのではないだろうか。

…というのもウズベキスタンの人々は、徐々に乗馬や馬術競技に力を入れ始め、新たなフィールドでカラバイル馬が活躍し始めているからだ。古くから馬との共生によって蓄積した知見とそのポテンシャルを生かし、現在では乗馬や馬術競技をレジャーやスポーツとして発展させている。すでに多くの乗馬クラブが存在し、マウンテントレイルライドは特に人気があるそうだ。

FEIネーションズカップにも出場。ウズベキスタン馬術とポロ

馬術競技では、ウズベキスタンはユーラシアリーグ11か国中でトップの成績をおさめ、国際馬術連盟が主催する世界的に権威ある馬術大会、FEIネーションズカップにも出場するまでになっている。

 
 
 
 
 
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またウズベキスタンがポロに力を入れるのは必然といえる。ブズカシやコプカリは「ポロ」の源流ともいわれる競技だからである。コプカリに適した馬体、気性を合わせ待つカラバイル馬の新たな活躍の場としてはうってつけである。コプカリよりもポロの方が、馬にとっておそらく負担も少ないであろう。

 
 
 
 
 
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ポロに採用されたカラバイル馬

ウズベキスタンからのメッセージ

Horses are part of our culture, all our ancestors were on a horse and our people love horses


馬は私たちの文化の一部であり、私たちの祖先はすべて馬に乗っていて、人々は馬を愛しています

これは一連のやりとりの中の、メッセージのひとつである。

アハルテケの話をきっかけに、思いがけずウズベキスタンのライダーと非常に興味深いやり取りに発展した今回。インターネットが素晴らしい縁をつないでくれた。noteに書いた記事をきっかけに、ウズベキスタンポロ連盟からも「ぜひウズベキスタンへ!」という連絡をいただいたりもした。

日本は戦後、馬の利用が減少し、馬文化が大きく衰退してしまった。日本でも在来馬保存の取り組みがあるものの頭数はまだまだ少なく、多くの人が在来馬に触れたことがない。日本の北海道和種(ドサンコ)が1000頭ほどしかいないのに対し、ウズベキスタンにはカラバイル馬が15万頭近くもいるそうだ。(正式に発表されているのは2003年の13万頭超が最新)

社会経済の急激な変革が進むウズベキスタンにおいて、カラバイルをはじめとする在来馬が新たな存在意義を見出し活躍することは、この国の豊かな馬文化の継承と発展に不可欠だ。この伝統と革新の適度なバランスで、カラバイル馬がこれからも故郷で生き残っていくことを願っている。

 

<SPECIAL THANKS>
Sarvar Dzhalalov



<参考文献・ウェブサイト等>
・Elwyn Hartley Edwards (2023) The Horse Encyclopedia. DK Pet Encyclopedias.
・Élise Rousseau (2017) Horses of the World (Princeton Field Guides). Princeton University Press.  

市場経済への移行のなか急成長するウズベキスタン|JICA MAGAZINE | 広報誌 JICAマガジン

Karabair Horses | Oklahoma State University

新疆马业 - 凯瑞贝尔马

Traditions of Uzbekistan. Game «Kopkari» | Novotours Silk Road - Travel Agency (touropertor) in Tashkent, Uzbekistan

Bakhromjon Gaziev was elected vice-president of the Eurasian Equestrian Association

Kupkari, Traditional Horse Game

Karabair Horse Breed Info & Facts